ブルース

大阪が生んだラグタイムブルースの名盤「ぼちぼちいこか」 。人生の喜怒哀楽をユーモアが包み込む。

食い倒れ太郎とラグタイム

大阪の不思議な魅力

音楽と地域の結びつきは非常に大きいのではないでしょうか。
ブルースはアメリカ南部で生まれた音楽です。
アメリカ南部で生まれた音楽はデルタブルースとして発展していきました。
一概には言えませんが泥臭い楽曲が非常に多いです。
デルタブルースを聴くと泥の中で醸成されたような生命力を感じます。

日本で南ときくと・・・
大阪ミナミを連想する方も多いのではないでしょうか?

・決してあまり上品な場所ではない
・ただなんとも言えない温かみがある
・飲み屋街多い
・活気がある

仕事、プライベートで訪れる度になんとなく「帰ってきたな」と感じます。
そんな不思議な安心感を与えてくれる場所が大阪です。

今日はそんな不思議な大阪の魅力がギュッとつまったアルバム「ぼちぼちいこか」を紹介します。

このアルバムについて

「ぼちぼちいこか」は1975年にバーボンからリリースされました。
「上田正樹と有山淳司」とありますがバックは全員サウストゥサウスなので実質はサウストゥサウスによるアルバムと言ってもいいです。
そもそもサウストゥサウスのライブは2部構成で第一部がアコースティックセットで第二部がエレキを使ってのセットでした。
このアルバムはその第一部を録音しようというコンセプトでした。

音楽的にはこのブログでも解説させて頂いている「ラグタイム」という音楽を基調にしています。
ラグタイムは基本的に明るい音楽。
このアルバムは明るさの中に少し陰りのあるラグタイムブルースとなっています。
その陰り、湿り気がなんともいい!
ただ基本的にはユーモアにあふれるナンバーがほとんどです

楽曲紹介

01.大阪へ出て来てから

本アルバムのオープニングナンバーがこの曲。
商店街(だろうか?)の店主と客のやりとりから楽曲が始まるのですが・・・
これは上田正樹と有山じゅんじが実際にハンディレコーダーを手にして録音したという逸話があります。
地方からやってきたのであろう青年が大阪に馴染んでいくまでのストーリー。
実家から離れた地で生活している人には物凄く共感できるナンバーだと思います。
ちなみに憂歌団の「嫌んなった」と同じコード進行です。

02.可愛いい女と呼ばれたい

大阪ミナミにはゲイタウンがありまして、恐らくそこで働く女性(性別的には男性、ややこしー)を主人公にした曲。
LGBTなんていう響きのいい言葉がなかった時代に「オカマ」を連発、そしてそこにユーモアを加えているので現代にリリースされていたら物議をかもしていそうですね。
しかし差別的な表現というより、女性(性別的には男性、ホントややこしー)のいじらしさも描かれている。
音楽的にはデルタスタイルのブルース。
ギターソロがメロディアスでかっこいい&そこまで難しくないのでコピーするとフレーズのストックになると思います。
ギタリストの方はどうぞ!

03.あこがれの北新地

このアルバムの中で一番リズムがゆったりしているゆるゆるナンバー。
一回行ってみたかった北新地!ボーナスをはたいていざ行ってみると・・・
日本は日本国憲法のもとで皆平等とされていますが、実際には「身分」というものは存在するということにまざまざと気づかされます。
それをユーモアが優しく包み込んでいるからいやらしくならないんですよね。

04.Come on おばはん

関西人特有の軽いノリをフィーチャーした曲。
軽いノリだから「連れ込みホテル」というワードも笑って許せる??

05.みんなの願いはただひとつ

昭和初期の古いポップス+ラグタイム。
サラリーマンの哀愁はどの時代でも同じということでしょうか。
お金はやっぱりあるほうがいい!!

06.雨の降る夜に

明るい曲が続く中、失恋ナンバー。

泣きながら俺と別れようと言ったね 雨の降る夜に

いきなりグッと大人になります。
中西さんのキーボードが哀愁を誘います。

07.梅田からナンバまで

恐らくこのアルバムで最も有名な曲。
ガールフレンドと梅田から難波まで散歩するという何気ない1日を切り取った曲。
自分の彼女とデートするウキウキ感がラグタイムの真髄なのかも。
この曲をリピートして梅田から難波を歩いた人、たくさんいるだろうな・・・笑

08.とったらあかん

このアルバムの中で1番のおふざけナンバー。
下着泥棒まではよかったのだが・・・。(よくないですよ!
悪いのは暑い夏というせいにしているのが大阪のノリでしょうか。

09.俺の借金全部でなんぼや

ブラインドブレイク調のTHEラグタイムナンバー
上田正樹がサウストゥサウスのメンバー、知人、友人に借金をしたり、返してもらったり。
そして次第に借金いくらか分からなくなるという・・・
多重債務の恐ろしさが分かる曲でしょうか笑
思い切りユーモアを持って歌い上げています。

10.俺の家には朝がない

THEマイナーブルース。
この曲は有山さんのソロと言ってもいいくらい!
有山さんのボーカルとギターが悲しくそして優しく溶け合います。
この曲は有山さんの実経験をもとに作られたそうです。
後ろの哀愁あふれるハープは今は亡き妹尾隆一郎さん。

11.買い物にでも行きまへんか

大阪へのガイドブック的な一曲。(ただし予算は500円です笑

とうもろこしは ナンバの駅前 戎橋には たこ焼きも
道具屋筋の問屋筋 人形を買うなら松屋町
同伴喫茶は千日前 連れ込みホテルは桜の宮
道頓堀は恋の町 可愛いあの娘と二人して

大体、大阪ってこんなところ??

12.なつかしの道頓堀

「大阪へでてきてから」で始まったこのアルバムを結ぶのが本曲。
「大阪へでてきてから」でたまには故郷を懐かしんだりしていたのが、道頓堀を懐かしいと思いアルバムが終わるというのが感慨深い。
ロバートジョンソンのThey’re red hotを想起させる歌メロがいいですね。

このアルバムの魅力

上品ではないけど、生命力、あたたかみ感じるところがこのアルバムの魅力です。
(赤ちゃんも生まれてくるときは血まみれな訳で笑)
スタイリッシュにいろんなものがいい感じに編集されているこの時代だからこそ、いろんな人の心に響く魅力があると思います。

ぼちぼちいこかを聴きたい!どうすれば聴ける?

①CD

これが一番手軽かつ間違いないかと。
アマゾンで紙ジャケ+ボーナストラック入りで販売されています。

②レコード

現行で販売はされていないものの中古レコード店で買えます。
なかなか見つからず1年間ぐらい越しにようやく買えた思い出があります。
馴染みのレコード屋さんの店主さん曰く今でもちょくちょく入荷はしているとのことです。
なので今でも十分に手に入ると思います。
レコードで聴くラグタイムは最高です!
アナログ派の方は是非ともレコードでどうぞ!

まとめ

綺麗ではないけど、それだからこそ生まれる生命力にあふれるアルバム。
人生の喜怒哀楽が全部入っているけど、それをユーモアが優しく包み込む。
ときには肩の力を抜きたいけど抜けないときがある。
そんなときに僕がいつも聴くのがこの「ぼちぼちいこか」です。

肩の力は抜いて、でも一生懸命生きよう。